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知名度がない会社の最初の一手——母集団形成、どこから手をつけるか

ルビーイン株式会社『ウェルハンティング』編集部

少人数の会社が机を囲み、採用の進め方を相談して最初の一歩を踏み出す様子

「うちは知名度がないので、母集団形成が難しい」——採用担当者の方から、よくいただく相談です。ただ、話を伺っていくと、行き詰まりの原因は知名度そのものより、着手する順番にあることが少なくありません。認知がない前提でも、順番を間違えなければ動き出せます。本記事では、最初の一手をどこに置き、何を後回しにするかを整理します。

最初にやるのは「施策を選ぶこと」ではない

知名度がないと自覚したとき、多くの企業がまず「どの手法を使うか」を考えます。ナビ媒体か、スカウトか、イベントか、紹介か。しかし、この問いから始めると、たいてい迷います。どの手法にも一長一短があり、自社にとっての正解は、手法の比較表からは出てこないからです。

順番としては、施策の選定は最初ではありません。先に決めるべきは「誰と会いたいか」と「会ったときに何を話すか」です。この二つが曖昧なまま手法だけ増やすと、どこに出ても同じ結果になります。手法の全体像を押さえたい場合は、採用チャネルの選び方を参考に、あとで自社に合う組み合わせを考えれば十分です。

第一歩:会いたい学生を、一人分の具体で決める

最初の一手は、ターゲットの言語化です。ただし「素直で前向きな学生」といった抽象度では、実務では使えません。判断の分かれ目に立ったとき、これでは誰も迷いを解けないからです。

有効なのは、一人分の具体まで落とすことです。どんな学び方をしてきた人か、どんな環境で力を発揮しそうか、入社後にどの仕事から任せるのか。ここが定まると、「この学生に会うべきか」の判断が担当者間で揃い、手法の選定も自然と絞れてきます。知名度がない会社ほど、全方位に配ることはできません。限られた接点を誰に使うかを先に決めることが、実質的な第一歩になります。

第二歩:自社の言葉を、面談で話せる状態にする

次に着手するのは、伝える中身です。ここで注意したいのは、パンフレットやサイトの制作から入らないこと。制作物は時間もお金もかかるうえ、中身が固まっていない段階でつくると、結局あとで作り直すことになります。

先に必要なのは、採用担当者が面談の場で、自分の言葉で30分話せる状態です。どんな仕事があり、どんな人が働いていて、何が大変で、何が面白いのか。良い面だけを並べず、正直に語れるところまで整理します。ここが固まっていれば、資料がなくても学生には伝わります。逆に、ここが空のまま立派な資料だけあっても、面談で話が続きません。一貫した「らしさ」の伝え方については、採用ブランディングの基本もあわせてご覧ください。

第三歩:直接会える場を、まず一つだけ持つ

ここまで決まって、ようやく手法の話になります。そして、知名度がない段階で相性が良いのは、学生と直接会える場です。認知がない会社は、名前で興味を持ってもらう入り口が使えません。企業名で選ばれない以上、「会って伝える」ところに接点を置くのが自然な帰結です。

ポイントは、最初は一つに絞ること。複数の手法を同時に始めると、どれも中途半端になり、何が効いたのかも分からなくなります。一つの場に絞れば、準備に時間をかけられますし、うまくいかなかったときも原因を特定できます。少人数でも構いません。手を広げる前に、一つの接点をきちんと回しきることを優先します。

第四歩:会ったあとの連絡を、先に決めておく

見落とされやすいのが、ここです。母集団形成というと「集める」ことに意識が向きますが、知名度がない会社にとって、一度出会った学生とのつながりは貴重です。せっかく会えても、その後の連絡が滞れば、印象は薄れていきます。

会う前に、最低限これだけは決めておきます。誰がいつまでに連絡するか、次に何を案内するか、返事がないときはどうするか。特別なことは必要ありません。約束した期日に連絡が来る、それだけで信頼は積み上がります。知名度で負けている分を、対応の丁寧さで埋めていく発想です。

手を広げるのは、どのタイミングか

では、いつ次の施策を足すのか。目安は、今の接点で「なぜうまくいったか・いかなかったか」を説明できるようになったときです。理由が言えるなら、次の手法にもその学びを持ち込めます。理由が分からないまま手法だけ増やすと、失敗の原因も分からないまま工数だけが増えていきます。

もう一つの目安は、社内の余力です。採用は続けることに意味があります。一年目に無理をして、二年目に誰も動けなくなるくらいなら、小さく続けられる形を保つほうが結果的に前に進みます。

やりがちな「逆順」に注意

最後に、つまずきやすいパターンを挙げておきます。制作物から入る、複数の手法を同時に始める、ターゲットを決めずに間口を広げる。いずれも「動いている感」はありますが、知名度がない状態では効きにくい順番です。

順番を逆にしないこと。誰と会いたいかを決め、話せる中身をつくり、一つの接点に絞り、フォローを設計する。地味ですが、この順で進めたほうが、限られた工数が無駄になりません

よくある質問

Q1. ターゲットを絞ると、母集団が減ってしまいませんか?
A. 数だけを見れば減ることもあります。ただ、知名度がない状態で間口を広げても、そもそも応募は増えにくいのが実情です。それなら、会える人数が少なくても、自社に合いそうな学生と深く話せる設計にしたほうが、次につながりやすくなります。

Q2. 採用サイトやパンフレットは、いつつくればいいですか?
A. 伝える中身が固まってからで遅くありません。面談で話している内容が定まってくると、何を載せるべきかも見えてきます。順番としては、話せるようになってから形にするほうが、作り直しが減ります。

Q3. 手法を一つに絞って、うまくいかなかったらどうしますか?
A. 一つに絞っていれば、何が合わなかったのかを振り返れます。ターゲットの設定なのか、伝え方なのか、場の選び方なのか。原因が見えれば、次の一手は精度が上がります。同時に複数を始めた場合、この振り返りができません。

まとめ

  • 知名度がない会社の最初の一手は、施策選びではなく「誰と会いたいか」の言語化
  • 制作物より先に、面談で自分の言葉で話せる状態をつくる
  • 直接会える場をまず一つだけ持ち、会ったあとの連絡を先に決めておく
  • 手を広げるのは、今の接点の成否を説明できるようになってから

知名度は、一年で変えられるものではありません。けれど、会った学生に「この会社、いいかもしれない」と思ってもらうことは、今年からできます。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』で、企業名では出会えなかった学生と1対1で向き合う場づくりに伴走しています。まずは、会いたい学生の像を一人分の具体まで書き出すところから始めてみてください。そこが決まると、次に何をすべきかが驚くほど見えやすくなります。