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施策ごとの効果測定——「続ける/やめる」をどう決めるか

ルビーイン株式会社『ウェルハンティング』編集部

採用担当者たちがボードや資料を前に、複数の施策の効果を見比べて次の判断をしている様子

母集団形成の施策は、始めるより、やめるほうが難しいものです。「今年は成果が薄かったが、来年は出るかもしれない」「担当が代わったせいかもしれない」——判断を先送りするうちに、惰性で続いている施策が積み上がっていく。本記事では、施策ごとに「続ける/やめる」をどう決めるか、その判断の作り方を実務の視点で整理します。

やめる判断が難しいのは、基準を決めていないから

続けるか、やめるか。この判断が毎年もつれるのは、たいてい「何をもって続けるのか」を決めないまま始めているからです。

始めるときは期待があります。その期待は、たいてい言葉になっていません。だから一年たって振り返るときも、成果が良かったのか悪かったのかを測る物差しがなく、担当者の印象だけが判断材料になってしまう。逆に言えば、始める前に「一年後にこれを見て判断する」と決めておくだけで、やめる判断はかなり楽になります。

施策ごとに、見るべきものは同じでない

すべてのチャネルを応募数で横並びに比べるのは、あまりうまくいきません。施策によって、担っている役割が違うからです。

母集団の絶対数を担う施策は、まず数で見ます。ただし数だけを見ると、自社に合わない層ばかり集まっていても評価されてしまうため、その後の段階に進んだ割合まで合わせて見る必要があります。

深く出会うための施策は、数では測れません。一人あたりどれだけ相互理解が進んだか、その後の志望度がどう動いたか、選考の途中で離脱していないか。数より、進み方の質を見ることになります。

認知や理解を育てる施策は、その年の採用数と直結しません。学生が自社をどう認識していたか、初回接触時点でどこまで知っていたか、といった間接的な手がかりを拾うことになります。

役割の違うものを同じ物差しで比べない。これが効果測定の出発点です。段階ごとの見方については、何を測れば改善につながるかを整理した採用KPIの立て方も合わせてご覧ください。

単年で切らない——立ち上がりに時間がかかる施策がある

一年目の結果だけで判断すると、判断を誤りやすい領域があります。

社員紹介のように社内文化の醸成が要るもの、過去に接点を持った学生との関係づくり、自社を知ってもらうための情報発信。これらは、いずれも一年目に大きな成果が出るタイプの施策ではありません。二年目、三年目に効いてくることを前提に始めるべきものです。

一方で、母集団の数を担う施策は、比較的短い期間で傾向が見えます。一年目でまったく数につながらないなら、翌年に大きく変わることは考えにくい。

つまり、「単年で判断してよい施策」と「複数年で見るべき施策」を分けておくこと。この線引きを始める段階でしておくと、一年目の結果に振り回されずに済みます。

やめる基準は、始める前に決めておく

もっとも実務的な工夫は、施策を始めるときに、次の3点を一緒に書き残しておくことです。

何のためにやるのか。 数を増やすためなのか、深く出会うためなのか、認知を育てるためなのか。

いつ判断するのか。 一年後なのか、三年後なのか。

どうなっていたら、やめるのか。 「まったく数につながらなければ」「工数に見合わなければ」など、大まかで構いません。

この3点があるだけで、翌年の振り返りが「印象の言い合い」から「あらかじめ決めた基準に照らす作業」に変わります。決めた基準が甘かったなら、そのときに直せばよいのです。

記録は「数字」と「感触」の両方を残す

振り返りのとき、数字だけでは判断がつかない場面がよくあります。数が伸びなかった施策でも、会えた学生の顔ぶれが自社と噛み合っていたなら、続ける価値はあるかもしれない。逆に、数は出ていても、選考の途中で離脱が続いていたなら、集め方に無理がある可能性があります。

だからこそ、記録には数字だけでなく、担当者が現場で感じたことも残しておきたい。どんな学生と会えたか、伝わりにくかったのはどこか、運用でつまずいた点はどこか。数字は翌年の判断材料に、感触は改善の手がかりになります。来年に活かす採用の年次振り返りと記録の残し方の仕組みに、施策ごとの所感欄をひとつ足しておくだけでも違います。

判断を、担当者一人に背負わせない

やめる判断には、社内の力学がついて回ります。前任者が始めた施策、役員の意向で導入した施策、現場が気に入っている施策。担当者一人でやめる判断をするのは、実際には難しいものです。

これを避けるには、判断の場を年次の振り返りとして仕組みに組み込んでしまうことです。「担当者がやめたいと言い出す」構図ではなく、「毎年決まった時期に、全施策を同じ枠組みで見直す」構図にする。同じ場で全部を並べれば、個別の施策への思い入れではなく、全体の配分としての議論になります。

よくある質問

Q1. 成果が出ていないのに、社内でやめる合意が取れません。
A. いきなり廃止を提案するより、規模を縮小して一年様子を見る、という選択肢を提示すると通りやすくなります。縮小した状態での結果が出れば、翌年の判断材料になります。段階を踏むことで、判断の納得感も高まります。

Q2. 担当者が代わった年の結果は、どう扱えばよいですか?
A. 施策そのものの評価と切り分けて考えるのが安全です。運用の巧拙で結果が大きく動く施策は、その旨を記録に残しておくと、翌年以降に誤った判断をしにくくなります。

Q3. 効果測定に、どこまで手間をかけるべきでしょうか?
A. 測ること自体が目的になっては本末転倒です。施策ごとに見る項目を数個に絞り、決まった時期にまとめて振り返る形が現実的です。少人数のチームほど、項目を欲張らないことをおすすめします。

まとめ

  • やめる判断が難しいのは、始めるときに基準を決めていないから
  • 施策の役割ごとに、見るべきものは違う。すべてを応募数で比べない
  • 単年で判断してよい施策と、複数年で見るべき施策を分けておく
  • 「何のために・いつ・どうなったらやめるか」を、始める前に書き残す
  • 数字と、現場の感触。両方を残しておくと翌年の判断が具体的になる

続けるかやめるかの判断は、その施策の良し悪しを裁くことではなく、限られた時間と予算をどこに寄せるかを決めることです。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』を通じて、企業の採用施策の振り返りに伴走しています。まずは今取り組んでいる施策のひとつについて、「何のために、いつ、どうなったらやめるか」を書き出してみてください。来年の振り返りが、驚くほど楽になります。