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就活の口コミにどう向き合うか——消すより、選考の場で正直に伝える

ルビーイン株式会社『ウェルハンティング』編集部

スマートフォンで評判を見て不安そうな学生に、採用担当者が隠さず正直に説明している様子

自社の名前で検索すると、採用サイトより先に口コミが目に入る——そんな状態を前に、どう構えるべきか悩む採用担当者は少なくありません。私たちルビーインは年間を通じて学生と1対1で話していますが、就活の口コミは「選考の前に見るもの」ではなく、会っている最中も、内定を出したあとも見られているものです。本記事では、学生が実際に何を見ているのか、そして企業として口コミにどう向き合うかを整理します。

学生は、会っている最中も口コミを見ている

口コミを見るタイミングは、応募前だけではありません。面談で学生の話を聞いていると、企業と接点を持った「あと」に確認して、印象が変わったという話がよく出てきます。

イベントで話を聞いて興味を持った学生が、その後に口コミを確認して印象が下がったというケースがあります。内定を承諾したあとに口コミを見て、「本当にここで良かったのか」と迷い始めた学生もいます。選考中の会社について、待遇や休みの取り方に関する書き込みを見つけて不安になり、面談で確かめようとする学生もいます。

つまり口コミは、母集団形成の話ではなく、選考の全期間、そして内定後にまで影響する変数です。「応募前の対策」として捉えていると、辞退の理由として最後に効いてくる部分を取りこぼします。

一方で、学生が口コミを盲信しているわけでもありません。「全部を見ていたわけではない」「多数意見をそのまま自分の意見にするのは危ない」と自覚している学生もいます。企業の業績や事業の状況と併せて総合的に判断すべきだ、という考え方を持っている学生も少なくありません。だからこそ、企業側から材料を出せば判断は動きます。

学生が気にしている項目は、意外と絞られている

書き込みは膨大にあっても、学生が拾い上げる論点は限られています。面談で語られる関心を並べると、おおむね次のあたりに集中します。

  • 離職率、とくに入社数年以内に辞める人の多さ
  • 残業時間、休日出勤、休みの取りやすさ
  • 評価と昇給の仕組み(どのくらいのペースで上がるのか)
  • 仕事の進め方(強引な進め方をしていないか)
  • 人間関係、相談できる相手がいるか

ある学生は、口コミで見た昇給ペースの記述から「正当に評価されるのか」を不安に感じていました。別の学生は、休みを取るときに理由を求められるという書き込みを見て「少し怖い」と感じつつ、「その懸念がなくなればもっと知りたい」と話していました。懸念は、必ずしも離脱の理由ではありません。確かめられれば残る学生がいます。

もう一つ重要なのは、「ブラック/ホワイト」の基準が学生ごとに違うということです。面談では、自分なりの定義をはっきり持っている学生に何人も出会います。ある学生は「一定の厳しさはむしろ必要」と言い、別の学生は「ビジョンが社員に浸透していないことこそ問題だ」と言います。残業を一律に嫌う学生もいれば、「自分の判断でやっている残業なら構わない」と線を引く学生もいます。

同じ書き込みでも、受け取り方は学生によって割れます。だから、書き込みの評価そのものを変えようとするより、自社の実態を説明できるようにしておくほうが確実です。

消そうとするより先に、事実を確かめる

ネガティブな書き込みを見つけると、まず「消せないか」に思考が向きがちです。ただ、投稿の削除は運営側の基準に沿った限定的な対応にとどまることが多く、労力の割に得られるものが小さくなりがちです。打ち合わせのなかでも、口コミ対策として外部に発注していたものを「これは必要なさそうだ」と見直した企業の話を聞いたことがあります。

先にやるべきは、書かれている内容の仕分けです。

  1. 事実か、事実でないか
  2. 事実だとして、いつの話か(すでに変わっている制度・体制の話ではないか)
  3. 会社全体の話か、特定の部署・時期に限られた話か
  4. 見方の問題か、実態の問題か(同じ環境を良いと感じる人もいるか)

この四つに分けると、対応が決まります。事実でないなら、事実を発信して打ち消す。過去の話なら、いつ何を変えたかを語る。一部の話なら、範囲を明示して説明する。実態の問題なら、採用の外側で直すしかありません。

面倒に見えますが、この仕分けをしておくと、選考の場で聞かれたときに慌てずに答えられます。準備の目的は、書き込みを消すことではなく、聞かれたときに一貫して答えられる状態を作ることです。

情報の「空白」が、いちばん不利に働く

見落とされがちなのが、書かれていないことの影響です。

ある学生は、企業を見極める視点として「採用サイトや求人情報に離職率のような重要な情報が書かれていない場合は警戒する」と話していました。企業側にとっては書かない理由があるのかもしれませんが、学生から見ると、空白は都合の悪い情報を隠しているというサインとして読まれることがあります。

そして、空白があるほど、学生は外の情報源を頼ります。公式に語られていないなら、口コミや掲示板で埋めるしかないからです。逆に言えば、自社で語っている情報が多いほど、口コミの相対的な比重は下がります。

これは口コミ対策というより、採用ブランディングの土台の話です。自社が何者で、どんな環境で、どんな人に向いているのかを自分の言葉で発信し続けているかどうか。その基本は採用ブランディングの基本——知名度がなくても、選ばれる会社になるためにで整理しています。

選考の場で、こちらから先に触れる

もっとも効くのは、選考のなかで自分から触れることです。学生が気にしているとわかっている論点を、聞かれる前に開くと、印象が反転することがあります。

伝え方には型があります。

① 事実を認める——「ネット上で、残業が多いという書き込みを見た方もいると思います」
② 背景を説明する——「時期によって業務が集中する構造があり、そこは実際に負荷がかかります」
③ 今どうしているかを話す——「昨年から体制を変えていて、こういう状況になっています」
④ それでも合わない人はいる、と正直に言う——「この波を負担に感じる方には、正直おすすめしません」

④を省かないことが大事です。良い話だけで着地させると、学生の側は「やはり隠している」と感じます。学生は複数の情報源を突き合わせて判断していますから、都合の良い説明だけでは、口コミ側の情報のほうが信頼されてしまいます。

学生がどの経路で情報に触れ、どう判断しているかは、SNS世代の学生は、どこで企業を知り、どう判断するかでも触れています。あわせて確認してみてください。

なお、他社の口コミを引き合いに出すのは避けてください。「あの会社はもっとひどい」といった比較は、学生の信頼を損ないます。語るのは自社のことだけで十分です。

中長期では、口コミは「今いる人」から生まれる

短期の打ち手をどれだけ整えても、書き込みそのものは今いる社員と辞めた人から生まれます。学生も、退職者の視点で書かれた投稿を読んでいます。

これは採用の課題というより、組織の課題です。ただ、採用担当者だからこそできることもあります。選考や面談で学生から出た懸念、辞退の理由として挙がった内容を、社内に返していくこと。「外からこう見えている」という情報は、社内の人にとっては見えにくいものです。

私たちルビーインが運営する逆求人型イベント『ウェルハンティング』でも、学生が事前に企業のことを調べたうえで参加するのは日常の光景です。調べられる前提に立って、聞かれたときに正直に答えられる状態を作っておくことが、いちばん堅実な備えだと考えています。

よくある質問

Q1. ネガティブな口コミは、削除を依頼すべきですか?
A. 明らかな事実誤認や、規約に反する内容であれば、運営元に申し立てを検討する余地はあります。ただ、対応してもらえる範囲は限定的なことが多く、そこに労力を集中させるのは効率が良くありません。事実の仕分けと、選考の場での説明の準備を優先するほうが現実的です。

Q2. 説明会や面接で、ネガティブな口コミに自分から触れるべきですか?
A. 学生が気にしていることが明らかな論点であれば、こちらから触れたほうが伝わりやすくなります。事実を認め、背景と現状を説明し、合わない人には正直にそう伝える。この流れで話せば、隠していないという姿勢そのものが評価されることがあります。

Q3. 口コミがほとんどない会社は、どうすればいいですか?
A. 書き込みが少ないこと自体は不利ではありません。ただ、学生から見ると判断材料が乏しい状態です。採用サイトや発信で、働く環境や制度、社員の実際の様子を自社から出していくことで、その空白を埋められます。情報が少ないほど、企業自身の発信が効きます。

まとめ

  • 口コミは応募前だけでなく、選考中も内定後も見られている
  • 学生が気にする論点は限られており、「ブラック/ホワイト」の基準は人によって違う
  • 消そうとする前に、事実か・いつの話か・どこまでの話かを仕分ける
  • 情報の空白は不信を呼ぶ。自社から語る量を増やし、選考の場では先に触れて正直に伝える

書かれていることを変えるのは簡単ではありませんが、書かれていることをどう受け取られるかは、企業側の説明で変えられます。まずは自社について語られている内容をひととおり読み、事実として認める部分と、説明が必要な部分を一枚の紙に整理してみてください。それがそのまま、次の面談で使える準備になります。