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地方企業の母集団形成——エリアの制約を分解し、全国から採るという選択

ルビーイン株式会社『ウェルハンティング』編集部

田園風景が広がる地方のオフィスから、採用担当者が画面越しに遠方の学生たちと対話する様子

「地方だから母集団が集まらない」——地方に拠点を置く企業の採用担当者から、よく伺う言葉です。ただ、実際に話を聞いていくと、制約は一つではなく、いくつかの異なる要素が混ざっています。それらを分けて捉えると、手が打てるものと打てないものが見えてきます。本記事では、エリアの制約の分解の仕方と、全国から採るという選択肢について整理します。

「地方だから採れない」は、半分だけ本当

前提として、地方に拠点があることは、採用において不利に働く面があります。近隣の大学の数、学生が企業を知る機会、就職活動で立ち寄れる範囲。こうした条件は、地域によって差があります。

一方で、「地方だから」の一言で片づけてしまうと、そこで思考が止まります。実際には、地方に拠点を置きながら、必要な人数を継続して採用している企業もあります。違いを生んでいるのは立地そのものより、制約をどう扱うかの設計です。まずは、何が本当の制約なのかを分けるところから始めます。

制約を、三つに分けて捉える

エリアに関する制約は、大きく三つに分けられます。

一つめは、認知の制約。学生が企業を知る機会が少ないという問題です。二つめは、移動の制約。会社を訪ねる、選考に参加するといった行為に時間と費用がかかる問題です。三つめは、居住の制約。入社後にその地域で暮らすことを選んでもらえるか、という問題です。

この三つは、打ち手がまったく違います。認知はチャネルの選び方で動かせます。移動はオンラインの活用で大きく軽減できます。一方、居住の制約だけは、テクニックでは解けません。分けて捉えると、手をかけるべき順番が見えてきます。実際、多くの企業がつまずいているのは移動の制約であり、ここは比較的動かしやすい部分です。

打ち手1:移動の制約を、オンラインで外す

三つのうち、最も取り組みやすいのが移動の制約です。初期の接点をオンラインに移すだけで、学生が参加できる範囲は広がります。

現実的な設計としては、最初の接点はオンライン、相互に関心が高まった段階で対面、という組み合わせです。いきなり来社を求めれば、興味の段階にいる学生は動けません。逆に、最後までオンラインだけで完結させると、職場の雰囲気や働く人の空気が伝わりきらないことがあります。

オンラインの接点では、画面越しに伝わる情報が対面より限られる点に注意が必要です。工夫の仕方は、オンライン面接で魅力を伝え、見極めるもあわせてご覧ください。

打ち手2:地元志向の層と、丁寧に出会う

エリアの制約を語るとき、見落とされがちなのが、その地域で働きたいと考えている学生は確かに存在するということです。家族との距離、慣れた環境での暮らし、転勤のない働き方。これらを積極的に選ぶ学生は少なくありません。

こうした層にとって、地方に根ざした企業であることは、不利ではなく魅力になりえます。問題は、その魅力が届いていないことです。地方の企業は「知名度がない」ことを気にしがちですが、地元で働きたいと考える学生にとっては、規模より、その土地で長く続いていることのほうが安心材料になる場合があります。

この層の考えていることについては、「地元で働きたい」学生の本音と、企業ができることで詳しく触れています。

打ち手3:全国から採ると決めるなら、言葉を用意する

もう一つの選択肢が、エリアを限定せず、全国から採ることです。都市部の大学に通いながら、卒業後は地方で働くことを考えている層。都市部での生活に疑問を持ち、別の暮らし方を探している層。こうした学生と出会う道は、オンラインの普及によって以前より開けています。

ただし、この選択をするなら、用意しておくべき言葉があります。なぜこの土地なのか、そこで働くとどんな生活になるのか、住まいや移動はどうなるのか。「自然が豊かです」といった漠然とした表現ではなく、実際の暮らしが想像できる粒度で語れることが必要です。

そして、良い面だけを並べないこと。不便な点、慣れるまでに時間がかかる点も含めて伝えたほうが、入社後のすれ違いを防げます。移住を伴う就職は、学生にとって生活ごと変える決断です。判断材料を隠さず渡すことが、結果的に信頼につながります。

全国から採ると決めたときに、起きること

全国に広げる判断をすると、実務上、いくつかの変化が起きます。まず、選考の日程調整が難しくなります。移動を伴う回が増えれば、費用の扱いも決めておく必要があります。内定を出したあとも、住まいをどうするかという相談が生まれます。

これらは、事前に想定しておけば対応できるものです。むしろ問題になりやすいのは、社内で「全国から採る」という方針が共有されていないときです。現場が近隣出身者を前提に考えていると、選考の途中で判断が揺れます。方針は、採用担当だけでなく、面接に関わる社員まで共有しておきたいところです。

「来てもらう日」を、丁寧に設計する

オンラインを活用するとしても、最終的に足を運んでもらう機会は残ります。この日は、遠方から来る学生にとって負担の大きい一日です。だからこそ、設計の丁寧さが印象を左右します。

面接だけで帰すのか、職場を見てもらうのか、働く社員と話す時間を取るのか。移動の時間も含めて、その日全体をどう過ごしてもらうかを考えます。わざわざ来てもらう以上、その一日で伝わるものを最大にする。地方企業にとって、この一日は数少ない、対面でしか届かないものを渡せる機会です。

よくある質問

Q1. オンライン中心にすると、志望度が上がりにくい気がします。
A. オンラインだけで完結させると、そうなりやすい面はあります。おすすめは段階を分ける設計です。関心が高まった段階で対面の機会を用意すると、それまでの接点が生きてきます。すべてを対面にするか、すべてオンラインにするかの二択で考えないことが大切です。

Q2. 全国から採ると、入社後に地元へ戻ってしまわないか心配です。
A. 可能性はゼロにはなりません。だからこそ、選考の段階で暮らしの実態を正直に伝えることが効いてきます。良い面だけを伝えて入社してもらうと、想像とのずれが早く表面化します。判断材料を渡したうえで選んでもらうほうが、結果的に落ち着きやすくなります。

Q3. 近隣の学生だけに絞るのは、消極的な選択でしょうか。
A. そうとは限りません。近隣に十分な出会いがあり、そこで採用が成立しているなら、無理に広げる必要はありません。エリアを広げるかどうかは、自社の状況と体制で判断するもので、広いほうが優れているという話ではありません。

まとめ

  • エリアの制約は「認知」「移動」「居住」に分けて捉えると打ち手が見える
  • 移動の制約は、オンラインの活用で比較的動かしやすい
  • 地元志向の層にとって、地域に根ざしていることは魅力になりうる
  • 全国から採るなら、暮らしの実態を具体的に語れる言葉を用意する
  • 対面で会える一日は、丁寧に設計する

立地は変えられませんが、出会い方は変えられます。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』で、エリアを越えて企業と学生が1対1で向き合える場づくりに伴走しています。まずは、自社が抱えている制約が三つのうちどれなのかを分けてみてください。手をつけられる部分が、思ったより多いことに気づくかもしれません。