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プロティアン・キャリアで育てる——組織任せにしない若手の自律

「この会社で、どんなキャリアを積めますか」。以前なら会社が用意した道筋を尋ねる質問でしたが、最近の若手が知りたいのは少し違います。用意された道に乗れるかではなく、自分の価値観に合う経験を積めるか。組織任せにせず、自分の羅針盤でキャリアを描きたいという志向が、面談の言葉の端々に表れます。本記事では、こうした自律的なキャリア観を、企業がどう支え、採用でどう見極め・伝えるかを整理します。

プロティアン・キャリアとは、自分を羅針盤にする生き方

経営学者のダグラス・ホール(Douglas T. Hall)が提唱したプロティアン・キャリアは、組織ではなく個人が主導し、自分の価値観やアイデンティティを基準にキャリアを形づくる考え方です。出世や肩書きといった外から与えられる基準ではなく、「自分にとって意味があるか」を軸にする点が特徴です。近年の若手が語る「主体的に働きたい」という言葉は、この発想と重なります。会社に敷かれたレールを歩むより、自分で道を選び直せる柔軟さを求めているのです。

自律を求める若手は、丸投げを求めているわけではない

自律的なキャリア観は、「放っておいてほしい」とは違います。打ち合わせで採用担当者の話を聞くと、「自由にやらせたら育つと思ったが、うまくいかなかった」という戸惑いも少なくありません。若手が求めているのは、自分で選ぶための材料と、選んだ結果を受け止めてくれる環境です。方向性は本人が握りつつ、その傍らで経験の機会や振り返りの場を用意する。支えるとは、道を敷くことではなく、自分で歩けるように伴走することだと言えます。

採用で見極める:与えられ待ちか、自分で描いているか

自律的なキャリア観を持つ学生かどうかは、過去の選択を聞くと見えてきます。「なぜその経験を選んだのか」「そこで何を大事にしたのか」を尋ねると、外の評価を基準にしてきた人と、自分の価値観で選んできた人とで語り方が分かれます。指示待ちではなく、自分なりの理由で行動を積み上げてきたか。この見極めは、キャリア自律の高さが定着につながるという観点からも、入社後を左右する大切な視点になります。

支え方:価値観を言葉にする機会をつくる

若手が自分の羅針盤を持つには、価値観を言葉にする機会が要ります。多くの学生は、自分が何を大事にしているかを、まだうまく言語化できていません。日々の仕事のなかで「今の経験に、どんな意味を感じたか」を問いかける。この小さな対話の積み重ねが、本人のなかに軸を育てます。予期せぬ出来事すら糧に変える柔軟さは、偶然を活かす力で不確実な時代を歩むという発想とも響き合います。

伝え方:「敷かれた道」ではなく「描ける余白」を示す

自律を求める若手に、整いすぎたキャリアパスを提示すると、かえって窮屈に映ることがあります。有効なのは、余白を見せることです。決まった道だけでなく、本人の価値観に応じて選び直せる幅があること、その選択を会社が後押しすること。良い面を飾り立てるのではなく、自分で描ける余地を正直に伝えるほうが、自律的な学生には魅力的に響きます。無理に一本道を約束しないことが、入社後のすれ違いも防ぎます。

よくある質問

Q1. 自律を重んじると、会社の方針とぶつかりませんか?
A. 必ずしもぶつかりません。会社の方向性と本人の価値観が重なる部分を一緒に探すことが大切です。丸投げでも押し付けでもない、その間に支える余地があります。

Q2. 自律的な学生かどうかは、短い面談で見極められますか?
A. 完全には難しいですが、過去の選択の理由を聞けば傾向は掴めます。自分の言葉で「なぜ選んだか」を語れる人は、自律の芽を持っていることが多いです。

Q3. 自律を支える取り組みは、手間がかかりませんか?
A. 大がかりな制度は必ずしも要りません。日々の対話で「どんな意味を感じたか」を問うだけでも、本人が軸を育てる助けになります。

まとめ

  • プロティアン・キャリアは、組織でなく自分の価値観を羅針盤にする考え方
  • 自律を求める若手は、丸投げではなく「選ぶための材料と受け止める環境」を求めている
  • 過去の選択の理由から見極め、価値観を言葉にする機会で支え、描ける余白を正直に伝える

若手のキャリア観は、会社に委ねる時代から、自分で描く時代へと移りつつあります。その羅針盤を尊重しながら傍らで支えることが、これからの定着と成長の土台になります。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』で、学生一人ひとりの価値観を1対1でじっくり掘り下げ、企業との相性を見極める場づくりに伴走しています。まずは次の面談で、「なぜその経験を選んだのか」を聞いてみてください。その学生の羅針盤が、見えてくるはずです。