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母集団形成施策を比べる4つの軸——コスト・工数・スピード・出会える層

ルビーイン株式会社『ウェルハンティング』編集部

採用担当者たちが壁に並んだ複数の施策カードを指しながら、観点ごとに見比べて検討する様子

母集団形成の施策を検討するとき、「どれが一番いいか」を探しても答えは出ません。施策ごとに得意なことが違うため、比べるには同じ土俵に乗せる必要があります。本記事では、コスト・工数・スピード・出会える層という4つの軸で施策を横並びにする考え方と、どの軸を優先すべきかは自社の制約で決まる、という視点を実務目線で整理します。

比較が難しいのは、同じ土俵に乗せていないから

打ち合わせで採用担当者の話をうかがうと、施策の検討が「他社が使っているかどうか」や「今年の新しさ」で進んでしまうことがあります。そうなると、判断の根拠が曖昧なまま契約や参加が決まり、あとから「思っていたのと違った」となりがちです。

比較を難しくしているのは、施策の説明がそれぞれ違う言葉で語られることです。ある施策は届く人数の多さを、別の施策は出会いの深さを前面に出す。強調点が違うものを並べても、優劣は判断できません。だからこそ、こちら側で共通の軸を用意し、すべての施策を同じ形式で書き出す作業が要ります。手法そのものの種類と特徴については、採用チャネルの選び方で整理しています。本記事は、それを「自社の条件で比べる」ための道具立てだと考えてください。

軸1:コスト——お金だけを見ない

一つ目の軸はコストです。ただし、見るべきは支払う金額そのものだけではありません。同じ支出でも、採用につながる出会いが何件生まれたかによって意味は変わります。

比べるときは、「使った金額」ではなく「一つの出会いにどれだけかかったか」で並べると、施策の性格が見えてきます。加えて、費用の発生の仕方も確認したいところです。先にまとまった額を払う形式か、成果に応じて発生する形式かで、うまくいかなかったときの痛手が変わります。予算の総額が限られているなら、後者のほうが試しやすい場合もあります。

軸2:工数——「誰が、どれだけ手を動かすか」

二つ目は工数です。見落とされやすいのですが、実務ではここが最も詰まりやすいポイントです。掲載して待つ形式は運用の手間が比較的軽く、企業から個別に声をかける形式は一人ひとりへの手間がかかります。イベント形式は、当日だけでなく事前準備と事後のフォローに時間が必要です。

確認したいのは、その工数を「誰が」持つかです。採用担当者が一人で兼務している体制なら、手間のかかる施策を複数抱えた時点で回らなくなります。現場社員の協力を得られるかどうかでも、選べる施策は変わります。少人数で運用する前提での考え方は、少人数の採用オペレーションにまとめています。工数の見積もりは、理想ではなく実際に割ける時間で置くのが大切です。

軸3:スピード——結果が出るまでの時間

三つ目はスピードです。施策には、始めてから出会いが生まれるまでの時間差があります。掲載型は公開してから応募が届くまでに間があり、イベント型は開催日に一気に出会いが生まれます。個別に声をかける手法は、返信を待つ時間が読みにくい一方、動き出しは早くできます。

見るべきは速さそのものではなく、自社の採用スケジュールと噛み合うかどうかです。選考の開始時期が迫っているのに、成果が出るまで時間のかかる施策を主軸に置けば、間に合いません。逆に、早い段階から関係づくりを始めたいなら、すぐに結果が出ないことは弱点になりません。急ぐ場面と、じっくり取り組む場面を分けて考えると判断しやすくなります。

軸4:出会える層——「誰と会えるか」

四つ目は、その施策でどんな層と出会えるかです。実務上は、ここが最も重要な軸になることが多いと感じています。どれだけ安く早く多くの人に届いても、会いたい層がいなければ意味がありません。

学生の動き方は一様ではありません。就職情報サイトを軸に動く層、学内の窓口を頼る層、スカウト型サービスに登録して企業からの声を待つ層、イベントで直接会うことを重視する層。それぞれ性格が違います。施策を検討するときは、「その場にどんな学生が集まるか」を、可能な範囲で具体的に確かめてみてください。数の説明より、集まる層の説明のほうが判断材料になります。

どの軸を優先するかは、自社の制約が決める

4つの軸に優劣はありません。優先順位は、自社が何に一番縛られているかで決まります。予算が最も厳しいならコスト軸が先に来ますし、担当者が兼務で時間がないなら工数軸を最優先にすべきです。選考開始まで日がないならスピード、求める人物像がはっきりしているなら出会える層が中心になります。

ここで大切なのは、制約を正直に認めることです。実際には時間が取れないのに、手間のかかる施策を「頑張れば回せる」と見積もると、途中で運用が崩れます。制約を先に置いてから比較すると、選択肢は減りますが、選んだものを最後までやり切れる確率は上がります。

比較表は、一度作って終わりにしない

4つの軸で施策を書き出した表は、一度作ると翌年以降の資産になります。年度が終わったタイミングで、実際にどうだったかを同じ表に書き足してみてください。想定と実績のずれが残っていれば、次の見積もりの精度が上がります。

また、この表は社内の合意形成にも役立ちます。「なぜこの施策を選んだのか」を説明するとき、軸が揃った表があれば、感覚ではなく条件で説明できます。上長や現場の理解を得やすくなるのは、実務上の大きな利点です。

よくある質問

Q1. 4つの軸は、すべて数値化すべきですか?
A. 無理に数値化する必要はありません。コストや工数は数字で置けますが、出会える層は言葉で書いたほうが実態に近くなります。大切なのは、全施策を同じ項目で書き出して並べることです。形式が揃っていれば、数字と言葉が混ざっていても比較はできます。

Q2. 施策の説明を聞いても、出会える層が分かりません。
A. 提供している側に、どんな学生が登録・参加しているのかを具体的に尋ねてみてください。答えが抽象的なままなら、少ない規模から試して自分たちで確かめるのが確実です。一度でも実際に会えば、資料からは分からない手触りが得られます。

Q3. 前年の実績がなく、見積もりが立てられません。
A. 最初の年は精度が低くて構いません。想定を書き残しておくこと自体に意味があります。実施後に実績を書き足していけば、二年目以降の判断材料になります。まずは記録を残す仕組みをつくることから始めてみてください。

まとめ

  • 施策は説明の強調点が違うため、こちらで共通の軸を用意して並べる
  • コストは金額だけでなく、一つの出会いあたりの負担と発生の仕方で見る
  • 工数は「誰が持つか」まで確認し、実際に割ける時間で見積もる
  • スピードは速さそのものより、自社のスケジュールと噛み合うかを見る
  • 出会える層は、集まる学生の性格を具体的に確かめる
  • どの軸を優先するかは、自社が最も縛られている制約で決まる

施策を比べる物差しを持つことは、流行や勧誘に流されずに選ぶための備えになります。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』で、企業がどんな層と、どれだけの手間で出会えるのかを事前にすり合わせながら、無理のない参加設計に伴走しています。まずは今使っている施策を、4つの軸で一枚に書き出してみてください。見直すべき点が、思いのほかはっきり見えてきます。