BLOG ブログ
「やらされ仕事」を「自分の仕事」に変える——内発的動機づけを支える関わり方
結論から言えば、若手の「やらされ感」は、本人のやる気が足りないからではなく、働く環境の関わり方から生まれていることが少なくありません。私たちルビーインが年間5,000件を超える学生面談で聞く声にも、「言われたことをこなすだけの毎日が不安」という気持ちがにじみます。内発的動機づけ——外からの報酬ではなく、自分の内側から湧く「やってみたい」を支えるには、特別な制度より、日々の関わりの積み重ねが効きます。本記事では、その視点を現場の言葉とともに整理します。
「やらされ感」は、本人のやる気の問題ではない
「最近の若手はすぐ受け身になる」という声を、打ち合わせで耳にすることがあります。けれど面談で学生と話すと、多くは「意味がわかれば頑張りたい」「任せてもらえれば応えたい」と語ります。やらされ感は、性格でも世代でもなく、「自分で選んだ実感」や「役に立っている手応え」が薄いときに生まれます。つまり、環境の側で和らげられる余地があるということです。裏を返せば、環境が変われば、同じ人でも動き方は変わり得ます。まず「やる気が足りない」という見立てを一度手放すことが、支える側の第一歩になります。
3つの欲求から動機づけを捉える
心理学者のデシとライアンが提唱した自己決定理論では、人が内側から動くとき、「自律性(自分で決めている感覚)」「有能感(できるという手応え)」「関係性(人とつながっている安心)」という3つの欲求が満たされているとされます。これは効果を保証する公式ではありませんが、若手の様子を見立てる”補助線”として役立ちます。やらされ感が強い若手は、この3つのどれかが欠けていることが多いのです。だからこそ、足りていないのはどれかを見極めることが、関わりの出発点になります。
自律性:小さくても「自分で決めた」を残す
すべてを任せる必要はありません。「この進め方でいい?」と一言添える、複数の選択肢から本人に選んでもらう——そんな小さな余白でも、「自分で決めた」感覚は生まれます。面談でも、選択肢を渡された学生ほど前のめりに話す傾向があります。この積み重ねが、「自分で選べる」実感がキャリア自律と定着につながる土台になります。
有能感:「できた」をこまめに実感してもらう
大きな成果を待つより、日々の小さな「できた」を言葉にして返すほうが、有能感は育ちます。「ここ、前より良くなったね」の一言が、次の一歩を後押しします。任される範囲を少しずつ広げ、本人が仕事を自分ごととして捉え直すジョブ・クラフティングを促すことも、手応えにつながります。
関係性:「見てくれている人がいる」安心
自律性と有能感は、「見てくれている人がいる」という関係性の安心があってこそ活きます。評価のためだけでなく、日常の雑談や気にかける一声が、若手の「ここにいていい」という感覚を支えます。面談でも、話をさえぎらず最後まで聞いてもらえた学生ほど、安心して自分の考えを深く語ってくれます。関係性は、特別な仕組みではなく、こうした日々の小さな態度の積み重ねで育ちます。動機づけは、制度より先に、人と人の関わりから始まります。
よくある質問
Q1. 内発的動機づけは、採用の段階から関係しますか?
A. 関係します。面談で「なぜやりたいのか」を一緒に言葉にしておくと、入社後も自分の動機を思い出しやすくなります。出会いの段階からの関わりが、後の動機づけの土台になります。
Q2. 任せると失敗しないか心配です。
A. すべてを任せる必要はありません。選び方の幅を少しだけ渡す、進め方を相談する——小さな自律から始めれば、失敗のリスクを抑えつつ「自分で決めた」感覚を育てられます。
Q3. 動機づけは、すぐ成果に表れますか?
A. すぐに表れるとは限りません。関わりの積み重ねで少しずつ育つもので、効果を保証するものではありません。それでも、日々の一声の有無は、若手の受け身度に確かな差を生みます。
-
関連記事
-
「働きがい」と「働きやすさ」は、両輪で回す——どちらか一方では続かない
結論から言えば、若手が長く働き続けるには、「働きやすさ」と「働きがい」の両方が要...
-
キャリアの節目を支える——「終わり・中立圏・始まり」の三段階で捉える移行期
結論から言えば、就職や配属といったキャリアの節目で若手が揺れるのは、弱さではなく...
-
幸せに働くことは、成果にもつながる——ただし、順番を取り違えない
結論から言えば、幸せに働くことと成果を出すことは、対立するものではなく、むしろ支...
-
若手のバーンアウトを防ぐ——燃え尽きの三つのサインに、早く気づく
熱心に働く若手ほど、燃え尽き——バーンアウトは静かに近づきます。厄介なのは、本人...
-
折れずに前を向く力を育てる——若手の「心理的資本」という考え方
結論から言えば、若手が困難に折れず前を向けるかどうかは、生まれ持った強さではなく...
-
