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「やりたいことがわからない」学生の本音——決めつけず、選択肢を広げる関わり方

「やりたいことが、まだわからないんです」——面談でこう打ち明ける学生は、決して少数派ではありません。この言葉を、準備不足や意欲の低さと受け取るのは早計です。その奥には、焦りや、選択肢の多さゆえの迷い、決めきれない不安があります。大切なのは、無理に答えを急がせないこと。本記事では、「やりたいことがわからない」学生の本音と、企業ができる関わり方を、実務の視点で整理します。

「やりたいことがわからない」は、珍しくない

やりたいことが明確な学生のほうが、むしろ例外的かもしれません。社会に出た経験のない段階で、自分の適性や興味を言い切れるほうが難しいものです。私たちルビーインが年間5,000件を超える学生面談で接するなかでも、「やりたいことがわからない」という声はごく一般的に聞かれます。まず企業側が、これを欠点ではなく自然な状態と受け止めることが、対話の出発点になります。

言葉の奥にある、三つの本音

「わからない」の中身は、一つではありません。一つ目は、選択肢が多すぎて絞れないという迷い。二つ目は、周りが決まっていくなかで自分だけ定まらない焦り。三つ目は、決めてしまうことへの不安——一つを選ぶと他が閉じる気がして、踏み出せない。どの本音かによって、必要な関わりは変わります。まずは「なぜわからないと感じるのか」を、丁寧に聞くことが欠かせません。

やりたいことは、探すより「出会う」もの

やりたいことは、頭の中を掘り下げれば見つかる、とは限りません。多くの場合、人や仕事との偶然の出会いのなかで、後から形づくられていきます。だからこそ、今わからないことを過度に問題視する必要はないのです。予期しない出会いを次の一歩につなげるという考え方は、「やりたいことが決まらない」時代の計画された偶発性というキャリア観にも通じます。企業との出会いそのものが、その学生の「やりたい」を育てるきっかけになり得ます。

企業にできること1:決めつけず、問いを渡す

「やりたいことは?」と正面から問うほど、学生は身構え、答えに詰まります。有効なのは、答えを迫るのではなく、考える手がかりとなる問いを渡すことです。「これまで、時間を忘れて取り組めたことは?」「どんな瞬間に充実を感じた?」——過去の具体から入ると、言葉になっていなかった志向が少しずつ見えてきます。この伴走は、自己分析が進まない学生に企業ができる伴走の考え方とも重なります。

企業にできること2:選択肢を広げる情報を届ける

やりたいことが定まらない学生には、選択肢を狭めるより、広げる情報が助けになります。世の中にどんな仕事があり、自社の中でもどんな役割があるのか。具体的な働き方を知ることで、「これは面白そう」という手がかりが生まれます。囲い込もうと早く決めさせるのではなく、視野を広げる情報を渡す——この姿勢が、結果として学生の信頼を得ます。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』で、学生が多様な企業と出会い、自分の「やりたい」を見つけていく場づくりに伴走しています。

よくある質問

Q1. 「やりたいことがわからない」学生は、採用を見送るべきですか?
A. その必要はありません。やりたいことが未定なのは、多くの学生に共通する自然な状態です。むしろ、出会いのなかで志向を育てていける余地とも言えます。今の状態より、向き合い方や関心の芽に目を向けるのがおすすめです。

Q2. 学生の「やりたいこと」を、どう引き出せばよいですか?
A. 正面から問うより、過去の具体的な経験から入るのが有効です。「時間を忘れて取り組めたこと」などを尋ねると、言葉になっていなかった志向が見えてきます。答えを急がせない姿勢が、本音を引き出します。

Q3. 企業側が「やりたいこと」を決めてあげてもよいのでしょうか?
A. 押し付けは避けたいところです。決めるのはあくまで本人です。企業ができるのは、選択肢を広げる情報を渡し、考える問いを添えること。伴走者として関わることが、納得のある選択につながります。