BLOG ブログ

理系・専門職の母集団形成——出会える場所と時期を、前提から見直す

ルビーイン株式会社『ウェルハンティング』編集部

研究室で理系学生が自身の取り組みを語り、採用担当者が関心を持って耳を傾ける様子

理系・専門職の母集団形成がうまくいかないとき、原因は「魅力が足りない」ことより、そもそも会えていないことにある場合が少なくありません。出会える場所も、動き出す時期も、一般的な採用スケジュールとは違うからです。本記事では、その前提の違いを押さえたうえで、接点の持ち方と専門性の見立て方を整理します。

前提1:動く時期が、ずれている

まず押さえたいのが時期です。研究に取り組む学生の多くは、学会や実験、論文執筆といった予定に生活が規定されています。就職活動に使える時間は、その合間に生まれます。

つまり、採用側のスケジュールと、学生側の余白が噛み合わないことがあるということです。一般的な採用の山場と、研究が最も忙しい時期が重なれば、興味があっても動けません。ここで「反応が薄い」と判断してしまうと、本来会えたはずの層を取りこぼします。

対策はシンプルで、こちら側が合わせることです。接点を持つ時期を分散させる、選考の日程に幅を持たせる、時間帯を柔軟にする。採用の都合を学生に合わせてもらうのではなく、学生の事情に採用が寄せる。この一手で、会える相手はかなり変わります。

前提2:探しに来てもらうのは、難しい

次に場所です。研究に時間を割いている学生ほど、多くの企業を自分で調べて比較する時間が取りにくくなります。結果として、幅広く探すのではなく、目に入った範囲から選ぶ傾向が出やすくなります。

この前提に立つと、「情報を出して待つ」形の施策は効きにくいことが分かります。有効なのは、こちらから届ける形と、直接会える場です。特に、企業側から声をかける形の接点は、探す時間が取りにくい層と相性が良い面があります。加えて、指導教員やキャリア支援の窓口を通じた紹介など、学内の経路から出会う道もあります。

いずれにせよ、「良い会社なら見つけてもらえるはず」という前提は、この層には当てはまりにくいと考えたほうが実務的です。

配慮は、選考プロセスの「軽さ」に表れる

研究で忙しい層への配慮は、言葉ではなくプロセスに表れます。エントリーシートの分量、選考の回数、来社の必要性、連絡から返答までの猶予。この一つひとつが、負荷の大小を決めます。

たとえば、来社を伴う選考が何度も続けば、それだけで参加のハードルは上がります。オンラインで済む段階はオンラインにする、複数の選考をまとめる、提出物を減らす。軽くすることは、手を抜くこととは違います。見極めに本当に必要な工程だけを残せば、質を落とさずに負荷は下げられます。

大学院で研究に取り組む学生の事情については、大学院生・理系院生の就活の特徴と向き合い方もあわせてご覧ください。

専門性の見立て:「何をしたか」より「どう向き合ったか」

理系・専門職の採用で採用担当者が悩みやすいのが、専門性の評価です。研究内容を聞いても、専門外の担当者には水準の判断がつきません。

ここで無理に内容を評価しようとすると、話を理解できた学生だけが高く見えるという偏りが生まれます。実務的に有効なのは、内容の高度さではなく、向き合い方を見ることです。なぜそのテーマを選んだのか、うまくいかなかったときに何を試したのか、途中で考えが変わった場面はあったか。こうした問いには、専門外の担当者でも判断できる情報が含まれています。

そして、これらは入社後の仕事の進め方に、比較的つながりやすい部分でもあります。専門知識そのものは入社後にも積み上がりますが、行き詰まったときの動き方は、その人の芯に近いところにあります。

「専門を活かせるか」への答えを、具体で用意する

専門を学んできた学生が気にするのは、それが仕事にどうつながるかです。ここに曖昧な答えしか返せないと、志望度は上がりにくくなります。

用意しておきたいのは、具体です。どの部署で、どんな課題に、どんな道具を使って取り組むのか。研究と完全に一致しなくても構いません。むしろ、一致しない部分こそ正直に伝えるほうが信頼されます。「研究テーマがそのまま業務になるわけではないが、こういう部分は活きる」と言えれば、学生は自分で判断できます。

仕事内容を具体的に言葉にする方法は、求人票は「具体」で語るが参考になります。

理系・文系を、優劣で語らない

最後に、伝え方の姿勢について。理系・専門職の採用を語るとき、「理系のほうが論理的」「文系は専門性がない」といった単純化が混じることがあります。こうした語り方は、学生にも社内にも良い影響を与えません。

違うのは、学んできた領域と、置かれている環境であって、能力の優劣ではありません。研究に時間を取られやすい、専門用語で語りやすい、実験計画に慣れている——こうした環境由来の特徴を踏まえて接点を設計する、という理解にとどめておくのが健全です。決めつけずに一人ずつ見る姿勢は、結局のところ見極めの精度も上げます。

よくある質問

Q1. 専門分野の知識がない担当者でも、面談で見極められますか?
A. 見極められる部分はあります。研究内容の水準を判定するのは難しくても、テーマの選び方、行き詰まったときの動き方、人への説明の仕方は、専門外でも十分に読み取れます。必要に応じて、技術部門の社員に途中から入ってもらう形も有効です。

Q2. 選考を軽くすると、見極めが甘くなりませんか?
A. 工程の数と見極めの精度は、必ずしも比例しません。目的が重なる工程を整理し、何を見るかを事前に決めておけば、回数を減らしても判断材料は確保できます。むしろ、目的が曖昧な面接を重ねるほうが精度は落ちやすいと感じています。

Q3. 専門を活かせる仕事が自社に多くない場合、どう伝えるべきですか?
A. 正直に伝えることをおすすめします。そのうえで、学んできたことのどの部分が活きるのかを具体的に示せると、学生が自分で判断できます。伏せたまま入社に至ると、入社後のすれ違いにつながりやすくなります。

まとめ

  • 理系・専門職は、動ける時期と情報に触れる経路が異なる前提で設計する
  • 「探しに来てもらう」より、こちらから届ける・直接会える場を持つ
  • 配慮は言葉ではなく、選考の負荷の軽さに表れる
  • 専門性は内容の高度さでなく、向き合い方から見立てる
  • 理系・文系を優劣で語らず、環境の違いとして捉える

会えていないだけで、興味を持ってくれる可能性のある学生はいます。私たちルビーインも、逆求人型イベント『ウェルハンティング』で、研究に打ち込む学生と企業が1対1で向き合える場づくりに伴走しています。まずは、自社の選考日程が学生の忙しい時期と重なっていないか、確認してみてください。時期をずらすだけで会える相手が変わることは、決して珍しくありません。