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「いつか起業したい」学生と、どう向き合うか

「将来は起業したいと思っています」——面談でこう語る学生に出会うことは、珍しくありません。採用担当者としては、「では、うちには長くいてくれないのでは」と身構えたくなるかもしれません。けれど、面談で彼らの話をよく聞いていくと、「起業したい」という言葉の多くは、新卒での就職を否定するものではないことが見えてきます。本記事では、私たちルビーインが『ウェルハンティング』の面談現場で出会う”起業志向の学生”のリアルと、企業ができる向き合い方を整理します。

「起業したい」の中身は、想像以上に幅がある

ひとくちに「起業したい」と言っても、その本気度や中身は学生によって大きく異なります。「いつかできたらいいな」という漠然とした憧れの人もいれば、すでに学生のうちから事業を立ち上げて動いている人もいます。そのあいだに、さまざまなグラデーションがあります。たとえば、「小学生のころから社長になりたかった」という長年の夢として語る人もいれば、「いろいろな働き方を知るうちに、選択肢の一つとして考えるようになった」という人もいます。まずは、この言葉が一枚岩ではないことを知ることが出発点です。

多くは「今すぐ」ではなく、「力をつけてから」

面談で特に多いのが、「起業したいというより、起業できる力がほしい」という語り方です。「まずは企業でノウハウを吸収してから」「一社目で経験を積んでから」と、就職を”起業への準備”として前向きに位置づける学生が少なくありません。なかには、「起業するための成長」を軸に、マーケティングや営業など、幅広く力がつく職種を選ぼうとする学生もいます。つまり彼らにとって新卒での就職は、起業と対立するものではなく、むしろその一歩目なのです。

「起業」という言葉の裏にある欲求

なぜ彼らは「起業」と言うのか。その背景には、いくつかの共通した欲求があります。自分で意思決定をしたい、若いうちから裁量を持ちたい、幅広い経験を積みたい、自分の力を試したい——「成長したい」という言葉とも重なる、主体性や成長への強い願いです。「起業」は、その願いを表現する一つの形として語られていることが多いのです。この根っこにある願いを理解できれば、”起業したい学生=採りにくい学生”という思い込みは、自然とほどけていきます。

リスクを避け、「会社の中で」実現したい学生も

一方で、「起業には勇気がいる」「リスクはあまり負えない」と、会社の中で新しいことに挑戦する道を選ぶ学生もいます。社内起業や新規事業という選択肢を知って、「視野が広がった」と語る人も少なくありません。起業への憧れがありつつも、その実現手段は独立だけとは限らない、ということです。

向き合い方1:否定せず、まず受け止める

「起業したい」と聞いて、「それならうちは合わない」と早々に線を引くのは、もったいない対応です。彼らの多くは、すぐに辞めるつもりで話しているわけではありません。まずはその志を受け止め、「なぜ起業したいのか」を一緒に掘り下げることで、本当に求めているものが見えてきます。

向き合い方2:「一社目の意味」を一緒に描く

起業志向の学生に響くのは、「ここで力をつければ、その先の選択肢が広がる」という文脈です。初回面談でも触れたように、彼らはキャリアの一歩目をどう位置づけるかを気にしています。自社で得られる経験・裁量・幅広い挑戦が、その後どんな力になるのかを具体的に描いて見せられると、就職の意味が伝わります。

向き合い方3:裁量と成長機会を、正直に示す

起業志向の学生が求めているのは、自分で決められる余地と、力がつく環境です。任される範囲、挑戦できる機会、多様な仕事に関われるかどうか——こうした点を誇張せず、正直に伝えることが大切です。実態以上に見せると、入社後のミスマッチにつながります。「若いうちから任される」「幅広い仕事に関われる」——こうした自社の”本当の姿”を丁寧に語ることが、いちばんの魅力づけになります。等身大の裁量と成長機会こそが、彼らを惹きつけます。

よくある質問

Q1. 起業志向の学生は、採用してもすぐ辞めてしまいませんか?
A. 一概にそうとは言えません。多くは「一社目で力をつけてから」と考えており、その期間に十分な裁量と成長を感じられれば、腰を据えて働きます。むしろ主体性が高く、活躍する人材になることも少なくありません。

Q2. 「起業したい」と言われたら、どう返せばよいですか?
A. まずは「どんな起業を、なぜしたいのか」を聞いてみてください。多くは、裁量や成長への願いが根っこにあります。その願いを自社でどう満たせるかを示せば、就職と起業志向は両立します。

Q3. 自社はベンチャーではありません。起業志向の学生には響かないでしょうか?
A. そんなことはありません。彼らが求めるのは”力がつく経験”であり、それは規模を問いません。幅広い仕事に関われる、任せてもらえる——そうした環境を示せれば、規模に関わらず候補になります。

まとめ

  • 「起業したい」は新卒就職を否定する言葉ではなく、多くは”力をつけたい・自分で決めたい”の表れ
  • その中身は、漠然とした憧れから学生起業まで幅広く、「一社目で経験を積んでから」と考える層が多い
  • 否定せず受け止め、「一社目の意味」を一緒に描き、等身大の裁量と成長機会を正直に示すのが向き合い方の基本

「いつか起業したい」という学生は、裏を返せば、主体的にキャリアを考えている学生でもあります。その志を頭ごなしに否定せず、自社が一歩目としてどんな力を与えられるかを語れる企業は、彼らにとって魅力的に映ります。私たちルビーインも、『ウェルハンティング』の1対1の面談で、学生の”本当にやりたいこと”を一緒に言葉にする場づくりに伴走しています。