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学生の「成長したい」の正体——曖昧な言葉の解像度を上げる

「成長したいです」——初回面談で、ほぼ毎回のように聞く言葉です。ところが、その”成長”が何を指すのかを掘り下げていくと、学生によって中身がまるで違うことに気づきます。ある人は「若いうちから裁量を持って挑戦したい」、別の人は「自分のペースでコツコツ積み上げたい」。同じ言葉なのに、方向は正反対のこともあります。本記事では、私たちルビーインが『ウェルハンティング』の面談現場で出会う、学生の「成長したい」の中身を5つのタイプに分けて解きほぐします。

「成長したい」は、中身の入っていない器

初回面談で「成長したい」は定番の言葉ですが、その多くは”中身がこれから決まる器”として語られています。社会人経験のない学生にとって、成長の具体像がまだ描けていないのは当然です。だからこそ、採用担当者が「成長できます」とだけ返しても響きません。まずは、その学生が”どんな成長”を思い描いているのかを見極めることが出発点になります。面白いことに、同じ「成長したい」でも、掘り下げると次のように大きく5つのタイプに分かれます。

タイプ1:挑戦・裁量で伸びたい「急成長型」

「若いうちから裁量を持ちたい」「難しいことに挑戦したい」——簡単にクリアできるものより、負荷の高い環境で一気に伸びたいタイプです。ベンチャー志向と重なることも多く、「簡単にクリアできるものより、難しい方が達成感がある」と語る学生もいます。成果や達成感を強く求めるのが特徴です。この層には、任される範囲や挑戦の機会を具体的に描いて見せると響きます。

タイプ2:着実に積み上げたい「コツコツ型」

一方で、「自分のペースで少しずつ成長したい」「着実に積み上げたい」と語る学生も少なくありません。急成長という言葉にはむしろ距離を感じ、地に足のついた育ち方を望みます。「成長というテーマはちょっと違うかも」と正直に話す学生もいます。この層には、研修や育成の手厚さ、無理なく続けられる環境が刺さります(幸せに働く条件とも重なる層です)。

タイプ3:スキル・市場価値を高めたい「市場価値型」

「手に職をつけたい」「市場価値を高めたい」と、身につく力そのものに関心を置くタイプです。結果が目に見える仕事や、専門性が磨ける環境を好みます。「お金を稼ぎたい」という言葉と一緒に語られることも多く、成長を”稼げる力”として捉えている面もあります。この層には、どんなスキルが・どのくらいの期間で身につくのか、という具体的な成長の道筋を示すのが有効です。

タイプ4:人や組織を伸ばしたい「育成・影響型」

「人に教えるのが好き」「人や組織の成長を引き出せるリーダーになりたい」——自分だけでなく、周囲を伸ばすことにやりがいを感じるタイプです。過去にリーダーや教える経験を持つ学生に多く見られます。この層には、チームや後輩に関われる役割、人を育てる文化を伝えると届きます。

タイプ5:成果と貢献で実感したい「手応え型」

「数字やできるようになったことで成長を実感したい」「やるからには誰かの役に立ちたい」——成長を、目に見える成果や貢献の手応えとして捉えるタイプです。頑張りが正当に評価されること、成果が誰かの役に立つことを重視します。この層には、評価の仕組みや、仕事の先にいる相手を見せることが効きます。

同じ「成長」でも、刺さる言葉は正反対になる

ここで重要なのは、同じ「成長できます」という一言が、急成長型には物足りず、コツコツ型にはかえってプレッシャーに聞こえる、というように、タイプによって受け取られ方が正反対になることです。よかれと思って伝えたメッセージが、相手の型と合っていなければ逆効果にもなり得ます。だからこそ、相手がどのタイプかを見極めてから言葉を選ぶことが欠かせません。

採用担当者へ:「どんな成長?」を一緒に言葉にする

大切なのは、「成長できます」と答える前に、「あなたの言う成長って、どういう状態?」と一緒に掘り下げることです。学生自身も、問われて初めて自分の”成長”を言語化できることが少なくありません。そのうえで、自社の環境をその学生の言葉に翻訳して返す——「あなたのこの志向なら、うちではこう伸びられる」と示せる企業が、記憶に残ります。曖昧な”成長”の解像度を一緒に上げることが、そのまま魅力づけになります。

よくある質問

Q1. 「成長したい」と言う学生は、みんな上昇志向が強いのですか?
A. そうとは限りません。急成長を望む学生もいれば、コツコツ着実に育ちたい学生もいます。同じ言葉でも中身は正反対のことがあるため、方向を確かめることが大切です。

Q2. 自社は急成長できる環境ではありません。不利でしょうか?
A. いいえ。着実な育成や、スキルが磨ける環境、人を育てる文化を求める学生も多くいます。自社の”成長のかたち”を正直に言葉にすれば、それを求める学生に届きます。

Q3. 学生の「成長したい」を、どう掘り下げればよいですか?
A. 「どんなときに成長を感じた?」と過去の経験を聞くのが有効です。挑戦・積み上げ・スキル・人を育てる・成果——どこで手応えを得てきたかに、その学生の”成長の型”が表れます。

まとめ

  • 「成長したい」は頻出だが、中身は学生ごとにまるで違う”器”
  • 大きく、挑戦型・コツコツ型・市場価値型・育成型・手応え型に分かれる
  • 「成長できます」と返す前に、”どんな成長か”を一緒に言葉にし、自社の環境をその言葉に翻訳する

「成長したい」という一言を、そのまま受け取らずに一段掘り下げる。それだけで、学生一人ひとりに合った魅力づけができるようになります。私たちルビーインも、『ウェルハンティング』の1対1の面談で、学生自身も気づいていない”成長の中身”を一緒に言葉にする場づくりに伴走しています。