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学生が見ている「社員の雰囲気」——面談・説明会の何気ない場面
「雰囲気が良かったので志望度が上がりました」——学生からこう言われて、具体的に何が良かったのかまでは聞けずじまい、ということはないでしょうか。学生が見ている「社員の雰囲気」は、用意されたコンテンツより、その周辺の何気ない場面に宿っています。本記事では、学生が社員の様子のどこを見て会社を判断しているのかを、年5,000件の面談で聞く声から整理します。
「雰囲気がいい」は、学生自身も言語化できていない
まず前提として、この言葉は学生にとっても説明しづらいものです。面談で「雰囲気が良かった」と話す学生に理由を尋ねると、しばらく考えたあと、具体的な場面をぽつぽつ思い出す、という流れになることがよくあります。なんとなく違うと感じたものの、その理由を言葉にできていなかった、と振り返る学生もいます。
つまり「雰囲気がいい」は、判断の結論だけが残って、根拠が本人の中でも整理されていない状態です。だから企業がそのまま受け取ると、次に何を再現すればいいのかがわかりません。逆に言えば、学生の中で何が起きているのかを企業側が知っておくと、打ち手が具体的になります。
学生が見ている「社員の雰囲気」は、学生に向けられた顔ではない
面談の話を聞いていて共通するのは、学生が判断材料にしているのは、自分に向けられた対応そのものではない、ということです。学生に向けた説明や受け答えは、当然ながら整えられているとわかっています。だから学生は、その周辺を見ます。
象徴的な声がありました。ある学生は、オフィスを訪問したときの印象をこう振り返っています。チームで働いていると説明されていたのに、実際の執務スペースは各自が黙々と作業していて、話しかけないでほしいという空気が漂っていた、と。説明の内容ではなく、その場の社員同士のやりとり——あるいは、やりとりがないこと——が、判断の根拠になっていました。
社員同士の会話のトーン、誰が誰に話しかけるか、質問を受けた社員が別の社員に確認するときの様子。学生に向けていない場面のほうが、素の状態として受け取られます。
見られている場面1:質問に、どう答えるか
学生が最も注意深く見ているのは、質問への答え方です。答えの中身以上に、答え方の姿勢が読まれています。
面談では、質問に真摯に向き合ってもらえた、自分の意見を尊重してもらえたという体験が、そのまま志望度の上昇として語られます。逆に、必要最低限の受け答えだけで会話が広がらなかった、という体験は「ドライで合わなそう」という印象に直結します。
答えの内容についても、良い面だけを並べた説明より、弱い部分にも触れた説明のほうが評価されています。面談では、会社の課題や大変な部分を率直に指摘してくれた企業に対して、印象が良かったと語る学生の声が聞かれます。整った答えを返すことより、正直に答えていると伝わることのほうが効いています。
ここで注意したいのは、何気ない一言の破壊力です。会社の雰囲気について尋ねた学生が、「変わった人は採用していません」という趣旨の返答を受けて、自分が変わった人だと思われたらどうしようと不安になった——そうした話も面談では聞かれます。言った側にまったく悪気がなくても、評価される立場の学生には別の意味で届くことがあります。
見られている場面2:若手社員が、自分の言葉で語れるか
座談会や説明会で若手社員が登場する企業は多いと思います。学生がそこで見ているのは、若手が話す内容そのものより、自分の言葉で語れているかどうかです。
面談では、参加した座談会で入社数年目の社員が控えめで、今後のキャリアについて具体的な話が聞けなかった、という振り返りが出てくることがあります。学生はそれを「話しにくい空気があるのかもしれない」という情報として受け取ります。台本どおりの説明が続くほど、その印象は強まります。
反対に、若手が自分の失敗や迷いも含めて具体的に語れていると、学生は入社後の自分を重ねやすくなります。ここは採用担当者だけで解決できる話ではなく、社員が自社の魅力を自分の言葉で語れる土壌づくりにつながっていく部分です。
見られている場面3:誰が出てきて、どう振る舞うか
誰がその場にいるかも、メッセージとして受け取られます。面談では、経営層が説明会や懇親会に顔を出していたことを挙げて、新入社員の育成に力を入れているのだろうと感じた、と語る学生がいます。内容ではなく、時間の使い方から意図を読んでいるわけです。
同じことは座り方や距離感にも及びます。一対多で正面から向き合う形なのか、輪になって話す形なのか。社員が学生の質問を待つのか、社員から話しかけるのか。演出として作り込む必要はありませんが、その場の形が何を伝えているかは、意識しておく価値があります。
言葉と態度がずれた瞬間が、いちばん強く残る
学生の中で最も強く印象に残るのは、語られた言葉と、目の前の様子がずれた瞬間です。
チームワークを掲げているのに社員同士が話していない。風通しの良さを説明しているのに、若手が上席の顔色を見てから答える。フラットだと言いながら、席次や話す順番がきっちり決まっている。こうしたずれは、説明の内容そのものを疑わせます。
面談では、事前に抱いていた社員の人物像と実際に会ったときの印象が違って戸惑った、という声も聞かれます。学生は説明会では良い面が語られると理解したうえで、実際に社員と会ってその答え合わせをしています。だからこそ、飾った説明ほど、答え合わせの場でマイナスに転じます。
演出ではなく、「聞ける空気」をつくる
では企業は何をすればいいのか。面談での声を踏まえると、雰囲気を良く見せる演出よりも、学生が聞ける状態をつくるほうが効果的です。
学生が重視する環境として、面談では「誠実さ」と「聞きやすさ」が並んで語られます。何を聞いても大丈夫だと最初に伝えられた場では、実際に質問が出てきます。質問が出れば会話になり、会話になれば社員の素の反応が伝わります。雰囲気は、演出ではなくやりとりの結果として立ち上がります。
具体的には、説明の時間を削ってでも質問の時間を確保する、答えにくい質問にも一度受け止めてから答える、わからないことは持ち帰ると正直に言う。この程度の設計で、学生の受け取り方は変わります。学生が「この会社いいかも」と感じる瞬間の多くも、こうした接し方の中で生まれています。
よくある質問
Q1. 学生が言う「雰囲気がいい」とは、具体的に何を指していますか?
A. 面談で掘り下げると、社員同士のやりとり、質問への答え方、若手が自分の言葉で語れているか、といった具体的な場面が出てきます。本人も整理できていないことが多いため、「どの場面でそう感じたか」と聞き返すと、判断の中身が見えてきます。
Q2. 説明会で社員の雰囲気を伝えるには、どんな形式が良いですか?
A. 形式そのものより、社員同士のやりとりが見えるかどうかが効きます。複数の社員が登壇して互いに補い合う場面や、質問を受けて相談する場面があると、関係性が伝わります。台本を細かく作り込むほど、その情報は消えます。
Q3. 雰囲気を良く見せようとすると、逆効果になりますか?
A. 説明した内容と実際の様子がずれると、説明全体の信頼が下がります。学生は説明会では良い面が語られると理解したうえで、社員と会う場で答え合わせをしています。飾るより、弱い部分も含めて正直に見せるほうが、結果的に印象は安定します。
まとめ
- 「雰囲気がいい」は結論だけが残った言葉で、学生自身も根拠を整理できていない
- 学生が見ているのは、自分に向けられた対応より、社員同士のやりとりなど周辺の様子
- 質問への答え方、若手が自分の言葉で語れるか、誰が出てくるかが判断材料になる
- 最も強く残るのは、語られた言葉と目の前の様子がずれた瞬間
- 演出より、学生が聞ける空気をつくるほうが、雰囲気は自然に伝わる
社員の雰囲気は、資料や動画では伝わりきりません。伝わるのは、その場で交わされるやりとりのほうです。私たちルビーインは、逆求人型イベント『ウェルハンティング』の運営を通じて年間5,000件の学生面談を重ねるなかで、学生が言葉にしきれていない「雰囲気」の中身に日々触れています。まずは直近の説明会で、質問の時間がどれだけあったかを振り返るところから始めてみてください。
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